【病院のセキュリティ向上!】臨床検査技師におすすめの情報セキュリティマネジメント試験とは?

資格

情報セキュリティマネジメント試験

「情報セキュリティマネジメント試験」は、社会の情報セキュリティニーズの高まりを背景に、政府の『「日本再興戦略」改訂2015』(平成27年6月閣議決定)や経済産業省の産業構造審議会で示された方向性を踏まえて、国家試験「情報処理技術者試験」の新たな試験区分として創設されました。具体的には、平成28年度春期から試験が開始され、情報セキュリティの専門家を育成し、情報セキュリティ管理や対策の重要性を高めることを目的としています。

情報セキュリティマネジメント試験は、科目A試験(旧午前試験)と科目B試験(旧午後試験)の2つの部分から成り立っています。どちらの試験も、複数の選択肢の中から正しい解答を選択する出題形式です。

試験の実施時間は科目A試験と科目B試験がまとめて120分です。問題数は科目A試験が48問、科目B試験が12問の合計60問となります。

試験はコンピュータを使用した方式で実施されます。受験料は7,500円(税込)です。

試験会場は全国の都道府県ごとに1カ所以上設置されています。2023年4月より随時受験が可能です。

IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の統計によると、情報セキュリティマネジメント試験の合格率は以下の通りです:令和4年上期は61.2%、令和4年下期は52.0%、そして令和5年4月には76.2%に達しています。これは、試験を受けた人のうち、半数以上が試験に合格していることを示しています。

[引用]IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:情報処理技術者試験:過去の合格発表、試験結果情報

[引用]IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:情報処理技術者試験 試験要綱

情報セキュリティマネジメント試験の合格基準は、科目A試験(旧午前試験)と科目B試験(旧午後試験)が合算され、1,000点中600点以上が必要です。この試験ではIRT(項目応答理論)が採用されており、受験者の解答結果から評価点が算出されます。合格には、総合評価点が600点以上であることが必要です。

[引用]IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:情報処理技術者試験における出題範囲・シラバス等の変更内容の公表について

検査室で扱う多くの個人情報

検査室で扱う個人情報としては、以下のような情報が挙げられます。検査依頼、実施時に発生する紙ベースの情報には、予約表、依頼表、ワークシート、チェックリスト、結果報告書、手術予定表、不使用となった検体ラベルなどがあります。また、コンピュータ上の情報としては、検査オーダー画面、結果索引画面などがあります。その他には、患者の呼び出しなども重要な個人情報となります。

個人情報へのセキュリティ対応

  1. リスク管理: セキュリティ知識を持つことで、潜在的なセキュリティリスクを特定し、それらに対処するための戦略を立てることができます。これには、データ侵害や不正アクセスなどのリスクを定量化し、優先順位付けを行うことが含まれます。
  2. ポリシーの遵守: 医療データは法的要件や業界規制に従う必要があります。セキュリティ知識を持つことで、適切なポリシーや規制を理解し、それらに準拠するための措置を講じることができます。
  3. トレーニングと教育: セキュリティ意識の向上は、全ての従業員にとって重要です。臨床検査技師がセキュリティ知識を持つことで、同僚や他の関係者に対してトレーニングや教育を行うことができ、組織全体のセキュリティ意識を高めることができます。外注システムや検査システムの他に、患者情報を取り込む検査装置など様々なバリエーションがありますので、院内のセキュリティ管理の模範となります。
  4. インシデント対応: インシデントが発生した際、迅速かつ適切に対応することが重要です。セキュリティ知識を持つことで、インシデントの検知、通知、分析、対応などを効果的に行うことができます。
  5. 技術的対策の実装: セキュリティ知識を持つことで、技術的なセキュリティ対策を実装し、システムやネットワークの脆弱性を低減することができます。これには、アンチウイルスソフトウェアやファイアウォールの導入、アクセス制御の強化、暗号化の実装などが含まれます。さらに、システム会社などとのコミュニケーションにおいても、セキュリティ関連の知識があることで話がスムーズに進みます。また、他の施設へのデータ送信時には暗号化やハッシュ化技術を用いることで、より安全な通信が可能となります。

過去問の利用

試験の傾向に慣れたい場合は、無料で公開されている過去問を活用して感覚を身につけることが効果的です。試験の問題には一定のパターンがあり、出題内容は大きく変動しません。最新の過去問から順に解いていくと、間違った問題の解説を理解することが大きな得点につながります。また、試験時間内に解く練習も重要であり、本番のシミュレーションとしても効果的です。

要点を中心に学習

科目Aの対策では、要点を中心に学習し、基礎を身につけることがおすすめです。科目Aの要点は以下の4つになります。

  • 情報セキュリティ全般
  • 情報セキュリティ管理
  • 情報セキュリティ対策
  • 情報セキュリティ関連法規

受験が忙しい社会人でも、試験対策に追いつかない状況になっても、焦らずに要点を中心に学習して得点につなげましょう。科目Aの分野は情報セキュリティマネジメント試験の基礎であり、科目Bの攻略にもつながります。

CBT方式や長文読解

科目Bの長文読解やCBT方式の解き方も、情報セキュリティマネジメント試験の合格において重要です。科目Bは科目Aと同じく多肢択一式ですが、文章の長さから解くのに時間がかかります。過去問や問題集を解きながら、実際の試験時間内での解答練習を行うと、本番の模擬試験にもなるので効果的です。また、CBT方式ではコンピュータを使用するため、選択肢の絞り込みや文章への書き込みができないことに留意する必要があります。

ITパスポート試験」と「医療情報技師試験」などがあります。

ITパスポート試験

情報技術の基礎知識を評価するための資格です。コンピュータの基本的な機能やネットワーク、セキュリティ、プログラミングなど、幅広い分野にわたる知識が問われます。この試験に合格することで、情報技術の基礎を身につけることができます。臨床検査技師として、情報セキュリティだけでなく、情報技術全般に関する知識も持つことは、今後のキャリアにおいて大きなアドバンテージとなるでしょう。

医療情報技師試験

医療情報管理の専門家を育成するための資格です。医療情報システムの運用や管理、電子カルテの導入・活用など、医療分野における情報管理に関する幅広い知識が求められます。医療現場においては、患者情報の管理や医療データの保護が重要な課題となっています。医療情報技師試験に合格することで、臨床検査技師としての活動においても、医療情報の適切な管理に貢献することができます。

情報セキュリティマネジメント試験と並行して、ITパスポート試験や医療情報技師試験など、関連する資格取得も検討してみてください。自身のキャリアに合った資格を持つことで、幅広い分野での活躍のチャンスが広がります。ぜひ、これらの資格を目指して、自己成長を図ってみてください!

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