はじめに
医療の質を向上させるためには、正確で信頼性の高い検査結果が重要です。特に臨床化学および免疫化学分野の検査は、診断や治療の基盤となります。このため、日本臨床化学会と日本臨床衛生検査技師会が共同で設立した「認定臨床化学・免疫化学精度保証管理検査技師制度」は、検査技師の専門性と精度管理能力を証明するための重要な制度です。本記事では、この制度の概要、目的、および具体的な認定プロセスについて詳しく紹介します。
制度の概要
「認定臨床化学・免疫化学精度保証管理検査技師制度」は、臨床検査技師が臨床化学および免疫化学の分野で高度な専門知識と技術を有し、検査の精度管理を実践する能力を証明するための制度です。昨今の検査室では、既に認定制度が設置されている生理検査や細菌検査、血液検査を志す検査技師は多い一方で、臨床化学・免疫化学を率先して志す者は少ないのが現状でした。しかし、臨床検査においてこの分野は欠かすことのできない重要な分野です。その重要性を尊重し、精度保証体制の確立と維持管理を担う技師の育成を目的として、一般社団法人日本臨床化学会と共同で本認定制度が設置され、2014年から実施されています。
認定プロセス
認定臨床化学・免疫化学精度保証管理検査技師になるためには、以下の具体的なステップを踏む必要があります。
- 受験資格の確認
以下のすべてを満たす者とされる。
1)(一社)日本臨床衛生検査技師会の会員であること。
2)(一社)日本臨床化学会の会員であること。
3)日臨技生涯教育研修制度を修了していること。
4)臨床化学・免疫化学の実務経験が通算5 年以上あること。
5)日臨技もしくは臨床化学会主催の「認定指定講習会」を受講していること。
6)受験資格に必要な50 単位を取得していること
https://www.jamt.or.jp/studysession/center/asset/docs/kagaku_koshin.pdf
維持と更新
認定を受けた後も、継続的な教育を受けることが求められ、5年毎に再認定のための更新手続きが必要です。これには、最新の知識や技術を常に学び続けることが含まれます。これにより、品質の高い検査業務を維持することができます。
2級臨床検査士(臨床化学)との違い
「認定臨床化学・免疫化学精度保証管理検査技師」と「2級臨床検査士(臨床化学)」には以下のような違いがあります:
- 対象分野の広さ
- 認定臨床化学・免疫化学精度保証管理検査技師は、臨床化学および免疫化学の両分野にわたる専門知識と技術を求められます。一方、2級臨床検査士(臨床化学)は主に臨床化学に特化しています。
2. 精度管理の専門性
- 認定臨床化学・免疫化学精度保証管理検査技師は、検査の精度管理に特化した専門性を持つことが求められます。これには、精度管理手法やトラブルシューティングの知識が含まれます。2級臨床検査士(臨床化学)も精度管理の知識は必要ですが、認定検査技師ほどの専門性は要求されません。
3. 実務経験と教育要件
- 認定臨床化学・免疫化学精度保証管理検査技師の認定には、5年以上の実務経験と特定の講習会の受講が必須です。2級臨床検査士(臨床化学)の場合、要求される実務経験や教育要件は認定検査技師ほど厳格ではありません。
おわりに
「認定臨床化学・免疫化学精度保証管理検査技師制度」は、日本の医療の質を高めるために重要な役割を果たしています。この制度により、臨床検査技師は高度な専門知識と技術を持ち、精度の高い検査を提供することが期待されます。詳細については、日本臨床衛生検査技師会の公式サイトを参照してください。